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かたづけ屋のよもやま話~「分ける」「見極める」「資源化する」~

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皆さんこんにちは!

リサイクルショップ かたづけ屋の更新担当中西です♪

 

「分ける」「見極める」「資源化する」

リサイクル業の価値は、回収して終わりではなく、その後の工程で大きく決まります。現場は一見地味に見えるかもしれませんが、実際には多くの技術と判断が積み重なっており、そこでの精度が資源としての品質と収益性を左右します。リサイクル業は「分ける」「見極める」「資源化する」という三つの力で成り立っている、と言っても過言ではありません。

まず最初の仕事は回収です。個人宅であれば不用品回収、店舗やオフィスであれば廃棄物・不要資産の回収、工場であればスクラップや産廃の回収など、現場ごとに段取りが違います。搬出経路の確認、養生、近隣への配慮、車両の手配、積載の仕方、安全確保。こうした基本を押さえた上で、回収物を次工程で扱いやすい形にすることも重要です。例えば家電や家具は破損しないよう積む必要がありますし、金属スクラップは荷崩れや落下を防ぐ工夫が要ります。現場での段取りが良い会社ほど、作業効率が上がり、事故も減り、顧客満足も高まります。

次に重要なのが分別と選別です。リサイクル業の品質は、分別の精度で決まると言ってもいいでしょう。例えば金属スクラップ一つ取っても、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮、亜鉛、鉛など素材は多岐にわたります。さらに同じステンレスでも種類があり、磁性の有無、混入物の有無、表面処理などで価値が変わります。プラスチックも同様で、PET、PP、PE、PS、PVCなど材質が違えば再生の工程も用途も変わります。古紙も新聞、雑誌、段ボール、OA古紙などで求められる品質が違い、汚れや異物が混ざると評価が下がります。リサイクルの現場は、素材ごとの特性を理解し、「これはどのラインに流すべきか」を判断する連続です。

分別・選別には、人の目と経験が活きる領域が今も多くあります。もちろん機械選別も進んでいますが、異物混入や複合素材、汚れ具合などは現場判断が必要です。ここで働く人は、自然と素材に詳しくなり、目利きが鍛えられます。リサイクル業が“ものを見て価値を判断する仕事”と言われるのは、この部分です。

その次が加工・資源化です。回収したものをそのまま出すのではなく、市場で求められる形に整える工程があります。代表的なのがプレス加工です。金属スクラップを圧縮して運搬効率を上げ、製鉄所や精錬所で扱いやすい形にします。破砕は家電や混合物を細かくして分離しやすくする工程であり、ここから磁選や風力選別などを組み合わせて素材を分けていきます。洗浄はプラスチックの再生で重要で、汚れを落とすことで品質が上がり、用途の幅が広がります。こうした工程は、単に機械を動かすだけではありません。投入量、刃の状態、回転数、薬剤の濃度、水の管理、異物の除去など、細かい管理が品質に直結します。

さらにリサイクル業の現場では、法令遵守と安全管理が欠かせません。廃棄物処理は法規制が多く、許可やマニフェスト、保管基準、運搬基準などを守る必要があります。適正処理は企業にとっても重要で、コンプライアンスが厳しく問われる時代になっています。リサイクル業者が正しく処理し、必要な書類を整え、追跡可能な形で証明できることは、大きな信頼価値になります。安全面でも、重機、車両、切断作業、破砕機など危険が伴う工程が多いため、ルール作りと教育が重要です。安全を守ることは、働く人のためであると同時に、企業としての継続性を守ることでもあります。

こうした現場の積み重ねによって、リサイクル業は社会に資源を供給します。金属は製鉄所や精錬所へ、古紙は製紙工場へ、プラスチックはペレット化され成形メーカーへ。つまりリサイクル業は、製造業の入口に資源を供給する産業です。製造業が原材料を必要とする限り、その一部を担うリサイクル業の価値は揺らぎません。むしろ環境負荷を下げる流れが強まるほど、再生材の役割は大きくなっていきます。

この回のまとめとして、リサイクル業の魅力は「現場に技術があること」「品質を作る仕事であること」です。単純な回収ではなく、分別と加工によって資源としての価値を高める。その力がある会社ほど、顧客からの信頼も高まり、取引の幅も広がります。現場での改善がそのまま価値につながるため、努力が成果として見えやすい仕事でもあります。